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A子、B子、C子、D子は大学時代の親友で、卒業以来4年ぶりに再会した。
懐かしさに盛り上がり、C子の新車で夜のドライブに出かけた。
都会のネオンを抜け、軽快な音楽と笑い声が車内に響く中、ナビが示すまま田舎道へ進んだ。
やがて、舗装されていない細い道に入り、ナビが突然「目的地周辺です」と告げた。
辺りは真っ暗で、木々が不気味にそびえる。
気づけば、車は古びた神社の鳥居前に停まっていた。

「ここ、どこ?」A子が不安そうに呟く。
地図アプリは圏外、ナビもフリーズ。
鳥居の先には苔むした石段と、闇に沈む社がぼんやり見える。
「ちょっと探検してみない?」と好奇心旺盛なB子が提案。
C子は「やめとこうよ、なんか変な感じ…」と渋るが、D子の「せっかく来たんだし!」という声に押され、4人は懐中電灯を手に石段を登った。

社に着くと、静寂が重く圧し掛かる。
社の前には古い手水舎があり、水面に月が映っている。
A子がふと水面を見ると、4人の影が映るはずなのに、5つ目の影が揺れている。
「ねえ、これ…」と指差すと、B子が笑いながら「反射のいたずらでしょ!」と手を水に突っ込んだ。
その瞬間、水面が赤く染まり、冷たい手がB子の腕を掴んだ。
「ギャッ!」と叫ぶB子を全員で引っ張り、なんとか引き剥がす。
手水舎の水は再び透明に戻っていたが、B子の腕には赤い手形がくっきり残っていた。

パニックになり、4人は車へ急ぐが、鳥居をくぐった瞬間、背後で鈴の音が鳴り響く。
振り返ると、誰もいないのに社の扉がゆっくり開く。
D子が「走れ!」と叫び、車に飛び乗るが、エンジンがかからない。
窓の外を見ると、鳥居の前に白い着物の女が立っている。
顔は見えないが、長い髪が風もないのに揺れ、ゆっくりこちらに近づいてくる。
C子が震えながら「お願い、動いて!」とキーを回すと、ようやくエンジンが唸りを上げた。

車が急発進し、女の姿は闇に消えた。
必死で来た道を戻るが、ナビは「右に曲がれ」と繰り返すばかり。
やっと見つけた国道に出ると、4人は安堵のため息をついた。
しかし、車内の空気が一変。
後部座席のA子が震えながら呟く。
「ねえ…私たち、4人だったよね?」全員が振り返ると、後部座席の中央に、誰もいないはずの5つ目のシートベルトが締められている。
そこには、かすかに赤い手形が浮かんでいた。